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〒034-8628 青森県十和田市東二十三番町35番地1号

センター長よりgreeting

センター長挨拶

寳示戸 雅之
(ほうじと まさゆき)


学位:農学博士
職位:センター長、教授
専攻:土壌肥料学 
 寳示戸 雅之

私たちの組織は、北里大学が十和田市に獣医学部を設置した昭和41年(1966年)以来、地元十和田市や青森県との接点を大切にしながら、農業・産業動物を専門とする大学として50年近く経過した。学部開設10年後の昭和51年(1976年)には八雲牧場を開設している。農業基本法が制定されたのが1961年であるので、ちょうど日本が自国民の食料生産の方向を見定め、国内の草地開発を進め、畜産業の振興を図った時期である。一時期、牡鹿にも農業生産を行う実践牧場が設置されたが今はない。獣医学部が十和田にあるのは、地元の農畜産業との接点が獣医学と関連学にどれほど重要かを意味しており、十和田農場や八雲牧場の意義もその文脈で十分に説明できる。しかし最近は様々な環境要因が変化し、学部が十和田に存在する意義を改めて意識しないと、在京の同様の大学との差別化が困難になってきている。

FSC報告の第1号が19775月に発行されており、そこには当時の畜産学部長・椿精一氏による「八雲牧場-その目指すところ-」という文章が書かれている。以下に引用させていただく。

八雲牧場設置の目的は、畜産学部の畜産学科生と獣医学科生に対する実際教育、一口でいうならば両学科生に対し畜産の本質に触れる充実した教育・研究を実施するためである、といえよう。従来、ややもすると大学教育の場においては、実地即ち実験実習よりも講義によるいわゆる教室における著書を通じての説明・授業が重く見られている傾向にあった。それは国公私立大学の如何を問わず、経費の問題等で余儀なくされたことではあったが、派生する様々な弊害を思うとき、重大な問題が含まれていると考えざるを得ないのである。即ち、額に汗しての勤労による生産というものがまず欠如しており、土壌問題一つとってみても、土地造成、pHの問題、施肥、播種の適否、収穫、乾草(貯蔵飼料)の問題、人件費と収穫のバランス、1ha当たりの生産量、農機具類の取り扱い等々、基本的な問題からまず入って、家畜についても乳牛(ホルスタイン)、肉牛(和牛、短角、アンガス、ヘレフォード)の飼料効率と乳量や増体の問題、また市場における総合的な価格や資料などの経済問題、疾病、繁殖障害の問題−およそ畜産業において(中略)各種疾病の基本的な予防、治療対策と実行−の研究問題等に技術的な問題点も踏まえ、これらの各講座ごとに更に深く緻密に調査研究し、学部としての総合的な判断のもとに前進させていくというモデル的な方向を目指し、牧場経営の実際を教育し運営していくことを基本的な目的としたいと考えている。

以上が今から38年前に記された八雲牧場の理念である。

北里大学は獣医学部をはじめ、医学部、薬学部、医療衛生学部、看護学部、理学部、海洋生命科学部と、理系の総合大学である。医師と獣医師は全ての生き物の病気を治す仕事であるから、病気になったら頼られる人材を養成しているといえる。人も動物も、健康であるためにできることは何か、と考えることが守備範囲である。毎日を健康に過ごすために、第一に質の良い食料が十分量供給されることが必要となることから、結局、食料生産を担う農業こそが私たちの大学の共通理念のひとつと考えることができる。人も家畜もペットも、健康を維持するために良質の食料が不可欠で、それを合理的に生産することはすなわち、我が国や世界の環境保全にも結びつくわけなので、これこそが農医連携の原点である。

さて、最近、十和田農場では、化学肥料主体の施肥管理から自家生産される堆肥を主体とした管理に変更している最中である。しかしたやすいことではない。とくに除草剤を使わずに飼料用トウモロコシを生産することは大変だ。学生実験などで農場の土壌を繰り返し分析してみて驚くことは、土壌表層のpHが高く、リンもカリも過剰域にあることである。このことも、十和田農場の化学肥料削減を後押しする要因となっている。

一方、敷地面積370haの八雲牧場では2012年末から漢方医療の処方に使われる生薬(薬草)の試験栽培を開始していたが、2014年にはシマカンギク、ニホンハッカ、シソ、ウイキョウ、センキュウ、チョウセンゴミシ、カミツレなどの栽培を本格化した。これはJST(国立研究開発法人 科学技術振興機構)の研究予算COI-Tを、本学の東洋医学総合研究所と薬学部が漢方医療の推進のための科学的知見の集積を目的として獲得したことに伴い、生薬栽培を八雲牧場で担当することとなったからである。幸い、このプロジェクトはその後、研究拠点として正式に北里大学が認められたため、しばらくこの予算で生薬栽培を継続する予定である。

このように、十和田農場、八雲牧場ともにそれぞれ工夫をこらしながら運営を続けている。獣医学部におけるFSC全体の収支バランスに気を配り、北里大学の医療・理系学部と第一次産業(食料生産:農業)の接点という大義を看板に、多くの先生方の研究材料とともに、魅力的な学生実習の場を提供することが私たちの役割である。さらに、FSCの教育・研究活動を通じて、選ばれる大学としての特徴づけに貢献したい。






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